水のコラム
トイレの排水管の仕組みとは?床排水と壁排水のメリット・デメリットとあわせて解説
普段何気なく使用しているトイレですが、その排水管がどんな仕組みになっているのかご存じの方は少ないのではないでしょうか?
排水管まわりでトラブルが発生した際、排水管の仕組みや構造について知らなければ上手く対応できないことがあるかもしれません。
そこで今回は、トイレの排水管の仕組みを、排水方式のメリット・デメリットとあわせて解説いたします。
排水管まわりのトラブルに備えたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
トイレの排水管の仕組み
排水管まわりで起きたトラブルにうまく対処するには、排水管自体の構造を知っておくことが重要です。
まずはトイレに採用されている、排水管の仕組みや工夫について解説いたします。
トイレの排水トラップとは
トイレの排水トラップとは、下水道で発生する臭いや害虫の侵入を防ぐために作られた仕組みのことです。
排水管を意図的に曲げることで排管途中から便器内までに水が溜まるようにし、その水(封水)がフタの役割を担うようになっています。
排水トラップはサイホンの原理を利用しているため、常に一定量の水が入れ替わりながら封水として溜まる仕組みです。
この排水トラップがうまく機能していないと、悪臭トラブルの可能性が高まってしまいます。
トイレの排水方式は2種類に分けられる
トイレの排水方式は「床排水」と「壁排水」の2種類に分かれています。
また排水方式と同様に注意しておきたいのが、排水管の位置を示す数値です。
それぞれの方式により、「排水芯」や「排水高」といった数値が設定されています。
これらの情報はトイレ修理やリフォーム工事の際にも必要となりますので、あらかじめしっかりと確認しておきましょう。
現在は床排水タイプが主流
一戸建て住宅やマンションで一般的に採用されているのが「床排水」です。
配管が隠れて見えないことや床工事が必要ない点で、配管方式における主流とされています。
一方で「壁排水」は、一部のマンションや公団住宅などに見られる方式です。こちらは配管が直接壁につながっている点が特徴となります。
室内空間を確保したい場合に採用される排水方式です。
排水芯・排水高の確認方法
排水芯は、床排水の配管位置を示すのに使われる数値です。
トイレ背面の壁から排水管中心までの値で、一部メーカーではトイレ本体やタンク部分のラベルにて確認できます。
実測する場合は、本体を床に固定しているネジ(大きいタイプ)と壁までの距離を測りましょう。
排水芯の数値は3パターンあり、120mm、200mm、200mm以上のいずれかになります。
次に壁排水のケースですが、こちらは排水高と呼ばれる数値で排水管の位置を示しています。
実測する場合は、床から排水管の中心までを測りましょう。
排水高は120mmもしくは155mmのどちらかになります。
床排水と壁排水のメリット・デメリット
床排水と壁排水にはそれぞれ選ばれる理由があります。
ここからは2種類の排水方式について、メリット・デメリットの観点から解説していきましょう。
ちなみにトイレをリフォームする際は、リフォーム前の排管方式と同じ仕様を選ぶ必要があります。
排管方式の変更は床まで剝がす必要があり、現実的に難しい工事となるためです。
リフォームをスムーズに進めるためにも、排管方式はしっかりと確認しておきましょう。
床排水のメリット・デメリット
現在、床排水は排水方式の主流となっていますが、多少のデメリットがある点も理解しておきましょう。
床排水のメリット
床排水のメリットとして第一にいえるのは、本体の見た目です。
配管が隠れて見えないために、全体的にすっきりとした印象を与えてくれます。
次に注目したいのが節水効果です。
床排水は配管が垂直になるため安定した排水力が得られます。
壁排水と比べて使用する水の量が少なく済むため、より節水につながると言えるでしょう。
床排水のデメリット
床排水のデメリットとして大きなものはありませんが、壁排水と比較すると騒音のリスクがあります。
配管が床下にあるため、マンションやアパートなどでは排水時の音が階下に響きやすくなる可能性があるでしょう。
また、配管を設置するスペースが床下に必要となりますので、建物によっては床排水を選択できない状況もあります。
壁排水のメリット・デメリット
続いて壁排水のメリット・デメリットです。
現在の主流ではなくても選ばれるメリットは確かに存在します。
壁排水のメリット
壁排水のメリットは、床排水が選択できない場所でもトイレの設置が可能になることです。
設置スペースが狭い空間にトイレを作る場合や、一戸建ての2階トイレなどに向いています。
配管は壁の中になるため、音の影響が少ない点もメリットのひとつです。
夜間のような静かな状況でも、騒音で周りに迷惑をかけることは少ないでしょう。
壁排水のデメリット
壁排水のデメリットとして挙げられるのが、水漏れのリスクです。
排水管が老朽化した場合の水漏れリスクは、床排水よりも壁排水のほうが高いといわれています。
またトイレ本体から配管が出ているため、見た目が気に入らなかったり掃除がしにくかったりすることにも注意が必要です。
トイレの排水管まわりのトラブル
今度は排水管まわりで起きるトラブルについてみていきましょう。
トラブルの内容を理解することはもとより、その正確な原因を見極めることが大切です。
原因さえしっかりと見極めれば、最善の対応ができる可能性も高まります。
水の流れが悪い
水の流れが悪くなる原因として考えられるのは、排水管のつまり・水圧不足の2つです。
排水管のつまりは異物の混入以外にも、多量のトイレットペーパーやクリーナーシートを流すことによって引き起こされる場合があります。
水溶性のトイレットペーパーやトイレに流せると記載されているクリーナーシートでも、一度に大量に流してしまうと溶けきれないこともあるため注意が必要です。
水に溶けるものがつまりの原因であれば、時間が過ぎることで自然に解消されたり、市販の道具で対処したりすることもできるでしょう。
次に水量・水圧不足に関してですが、機械の破損が原因となる以外に節水を意識し過ぎて引き起こされることがあります。
悪臭がする
トイレから悪臭がする場合も、排管のつまりが原因となっている可能性があります。
悪臭がするということは排管がつまりつつある状況で、フタをしている水(封水)の量が不足している可能性もあります。
トイレットペーパーのような水に溶ける異物がつまりの原因なら、ラバーカップやパイプクリーナーといった市販のグッズで解消できることもあるでしょう。
つまりの原因に心当たりがないのなら、自力で対処せずに専門業者に連絡したほうが安心です。
普段と水位が違う
悪臭がしなくても便器内の水位が普段と違う状況は、排水管まわりのトラブルを示している可能性があります。
基本的に封水の量は変化しないため、異物による吸水、便器の破損、つまりによる流量変化などの原因が考えられるでしょう。
市販の道具を使って事態が改善しない場合は、業者への依頼を検討する必要があります。
自力での対処にこだわってしまうと状況を悪化させるおそれもあるため、冷静に判断することが大切です。
排水管トラブルの予防方法
最後に排水管トラブルの予防方法について解説していきましょう。
トイレの排水管まわりに起きるトラブルはさまざまですが、日頃から意識してできる対策もあります。
普段から掃除しておく
普段からトイレ掃除を定期的に行っている方は多いでしょう。
しかしながら排水管掃除までしっかり行っている方となると、少なくなってしまうのではないでしょうか。
排水管の中は目視できないため、意識しづらい点もあります。
しかし、排水管の汚れが異物のつまりを誘発することもあるので、なるべく清掃しておくほうが安心です。
市販されている排水管洗浄液を使えば、清掃の負担も軽減できます。排水管トラブルを防止するためにも、ぜひチャレンジしてみてください。
一度に流しすぎない
トイレをつまらせてしまう理由として多いのが、トイレットペーパーの流し過ぎです。
したがってトイレットペーパーを一度に流し過ぎないよう意識することが、トイレの排水管つまり予防に繋がります。
つまったトイレットペーパーはアルカリ性の薬剤で溶かすこともできますが、事前のトラブル防止にはなっていません。
トイレットペーパーという生活資源の節約にもなるため、積極的に意識してみましょう。
誤った節水をしない
誤った節水が原因で排水管トラブルを引き起こしてしまうことがあります。
大を小で流す・タンク内の水量を減らす、などといった節水方法のもとでは設計どおりの流す力を発揮できません。
設計の通りに水を流せないと排水管がつまる可能性も高まってしまいます。
過剰な節水は水量・水圧の不足を招き、トラブルの原因となることを認識しておきましょう。
まとめ
トイレの排水方式には「床排水」と「壁排水」の2種類があります。
トイレの排水トラブルにうまく対処するためにも、まずはご自宅のトイレに採用されている排水方式を確認してみましょう。
トイレの排水管まわりで起きるトラブルにおいて、つまりが最初の原因となっているケースは多数あります。
ゆえに普段の掃除を怠らないことやトイレットペーパーの使用量に注意する、間違った節水術は実行しないなど、日常生活のなかで取り組める予防法の効果は一定以上あると言えます。
この記事で紹介した情報も参考にして、トイレの排水トラブルにうまく対処してみてください。
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