水のコラム
浄化槽がいっぱいになるとどうなる?
「浄化槽という言葉は聞いたことがあるけど、何をする設備かわからない」という人は多いでしょう。浄化槽は、私たちが日ごろ使うキッチンやお風呂、トイレから出る生活排水をきれいに浄化する設備です。
浄化槽がいっぱいになると水が使えなくなるだけでなく悪臭が発生し、不衛生になってしまいます。浄化槽は私たちの生活において重要な役割を担っているのです。本記事では、浄化槽の役割といっぱいになってしまったときの対処法をご紹介します。
浄化槽とは
浄化槽は、公共の下水道が配管されていない家庭に設置されている汚水処理設備です。
浄化槽の中には水をきれいにしてくれる微生物が生息しており、微生物の力を利用して、各家庭のキッチンやお風呂場、トイレ、などから流れる生活排水をきれいにします。
きれいになった水は浄化槽を通り、川や海などに放流されます。浄化槽は、生活排水の汚れを取り除いて放流する役割を担っており、地球環境を守るうえで非常に重要な設備です。
私たちが使った生活排水を浄化せずにそのまま河川に流してしまえば、川や海はすぐに汚染され、そこに生息する貝や魚、プランクトンなどの海洋生物は死んでしまいます。
海の生物の住む環境を壊さないためにも、浄化槽は大切なのです。浄化槽は、窒素やリン除去といった高度処理にもできる優れものです。
浄化槽は各家庭に設置してありますが、地中に埋まっているため目立たず、日ごろ意識することはないでしょう。ですが、浄化槽は私たちの生活に欠かせない重要なものなのです。
浄化槽がいっぱいになると
浄化槽の仕組みを解説します。浄化槽は2種類の微生物の力を使って汚水を浄化します。
浄化槽に入った生活排水は嫌気性微生物の働きによって固体と液体に分けられます。そして液体に分けられた汚水は、好気性微生物によってさらに分解され、綺麗になった水だけが河川や海に排出されます。
嫌気性微生物によって分解された固体は、軽い「スカム」と重たい「汚泥」に分けられ、スカムは槽上部に、汚泥は底部に沈殿します。スカムや汚泥がいっぱいになると、浄化槽の機能に支障をきたすだけでなく、悪臭やつまりの原因にもなります。
そのため、定期的にスカムと汚泥を業者に定期的にスカムと汚泥を業者に汲み取ってもらう必要があります。業者は汲み取りの際に、付属機器や機械類の洗浄、清掃も行ってくれます。これは「浄化槽法」という法律によって定められているものです。
清掃の頻度もこの法律によって定められていて、通常の使用状態で年1回以上とされています。処理水質の低下、汚泥やスカムの著しい蓄積、槽内水位の上昇などの状態が起きたときが清掃のタイミングの目安です。
浄化槽は定期的な点検が必要になります。
浄化槽がつまってしまう主な原因は、トイレやキッチン、お風呂がつまってしまう原因とほとんど同じです。代表的なものとして、水に溶けないものや油汚れを流してしまったり、固形物を流してしまったりすることが挙げられます。
なかでも、トイレはつまりが起こりやすい場所です。トイレにはトイレットペーパー、排せつ物以外のものを流してはいけません。これら以外のティッシュ、おむつ、残飯、ナプキンなどの異物を流してしまうと、トイレだけでなく浄化槽のつまりを引き起こしてしまう可能性があります。これらはトイレに流さないようにしましょう。
また、キッチンでも残飯や食後のお皿に付着した油汚れを排水溝に流してしまうことは多いでしょう。しかし、油は水に溶けず、粘度が高いため、浄化槽の壁に付着しやすいです。油汚れが固まり排水の通り道が狭くなってしまうため、つまりが発生しやすくなります。
浄化槽が設置されている家庭では、といれ、キッチン、お風呂のつまりに充分気を付けましょう。
水道業者に依頼しよう
浄化槽の状態は、住宅近くのマンホールのフタをあけると確認できますが、自分で行うのは困難でしょう。自分で対処し、配管や浄化槽を傷つけてしまうと、高額な修理費用が掛かる場合もあります。
そのため、浄化槽がいっぱいになっていると感じたら、業者に依頼しましょう。各自治体の業者を調べると、バキュームでの吸引に対応できる業者が見つかるはずです。浄化槽にいっぱいになった汚物や汚水は基本的にバキュームで吸い出しして処理するので、その作業を業者に依頼し、つまりを解消していきます。
また、つまりの原因がトイレ、キッチン、お風呂場、浄化槽のどれなのかが自分で判断できない場合は、水道業者に依頼し原因を特定してもらうといいでしょう。
依頼するなら、きちんとした業者がいいですよね。ここでは優良業者を見極めるポイントを紹介します。
自宅から近く、すぐに駆けつけてくれるか
浄化槽の清掃を依頼するときは、急を要する場合が多いと思います。すぐに対応してもらえるよう、自宅から近くすぐに駆けつけてくれる業者を選ぶとよいでしょう。自宅から遠いと来るのに時間がかかってしまうだけではなく、出張費用も高額になる可能性があります。
料金が明確にされているか
広告やホームページに書いてある料金が明確にされている業者は信頼できるといえるでしょう。相場と比べて料金が安すぎたり、追加料金が発生したりするような業者は避ける方が無難です。
実績は豊富か
依頼するなら施工実績が豊富な業者を選びたいですよね。営業年数が長ければ長いほど、水回りのことについて技術やノウハウが積み重ねられている可能性が高いので、きちんと確認しましょう。ホームページに書かれている営業年数や施工実績なども、ぜひ参考にしましょう。
水道局指定業者かどうか
水道局指定業者とは、法律や法令に従ってきちんと施行できると認められた水道修理業者のことです。指定されるためには、「給水装置工事主任技術者」という国家資格保持者が在籍していることが必須条件です。水道局指定業者になるため厳しい条件を満たした業者に施行してもらえることは、水道局指定業者に依頼する大きなメリットです。業者を選ぶ際のひとつの目安にしましょう。
アフターフォローは充実しているか
浄化槽の清掃を実施してもらった後でも再び汚臭やつまりなどのトラブルが生じる可能性もあります。そのような際のアフターフォローや保障の内容をきちんと確認しておきましょう。
浄化槽の耐用年数は、使用している環境や製品の種類によって異なりますが、20〜30年ほどだといわれています。そのため、浄化槽の設置から20〜30年以上経過してしまっている場合は、点検や交換の実施を検討するべきタイミングといえます。
浄化槽の交換や、浄化槽の維持にともなう作業にかかる費用には、補助金が出る場合があります。きちんとお住いの自治体や水道業者に確認してみましょう。
まとめ
浄化槽は、トイレやキッチン、お風呂から出る生活排水を浄化してくれる設備です。浄化槽がいっぱいになると水が使えなくなるだけでなく悪臭が発生し、不衛生になってしまいます。浄化槽は私たちの生活において重要な役割を担っているのです。
トイレやキッチン、お風呂場がつまってしまうと浄化槽はいっぱいになりやすいです。日ごろからつまらないように気を付けて使用しましょう。もし浄化槽がいっぱいになってしまったら、専門業者に依頼して清掃を行ってもらいましょう。専門知識をもった水道業者がおすすめです。また、浄化槽がいっぱいでなくても、浄化槽法で定められている通り、1年に1回以上清掃を行い、快適に使用できるといいですね。