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鳥取県の温泉文化~山陰地方に根づく湯治の歴史と代表的な名湯~【水道職人:プロ】

2025年05月29日  お風呂

鳥取県と聞いて何を思い浮かべますか?
鳥取砂丘や松葉ガニが有名ですが、実は古くから温泉地としても知られている「湯の国」でもあるんです。

山陰地方の中でも、鳥取県は特に多様な温泉に恵まれています。
日本海に面した美しい海岸線と中国山地の豊かな自然に囲まれた土地柄が、様々な泉質の温泉を育んできました。
その歴史は古く、中には1,000年以上前から人々に愛されてきた温泉もあるとか。

この記事では、鳥取県における温泉文化の成り立ちと歴史的背景を探りながら、現代まで受け継がれてきた「湯治」の精神について考えてみたいと思います。
また、県内の代表的な温泉地もご紹介し、鳥取県の温泉の魅力についてお伝えします。

山陰の地に育まれた温泉文化

鳥取県の温泉文化を知るには、まず山陰地方の地理的特徴を知ることが肝心です。

山陰地方は日本海に面した地域で、背後には中国山地が連なっています。
この地形が、豊富な地下水と地熱を生み出し、各地で温泉が湧き出る環境を作り上げているんです。

鳥取県の温泉は、大きく分けて海岸部と内陸部に分布しています。
海岸部では塩化物泉が多く、これは海水の成分が地下水に混じることで生まれる特徴的な泉質となっています。

一方、内陸の山間部では単純温泉やラジウム泉など、山の恵みを受けた温泉がいくつも湧いています。

このような多様な泉質は、古くから人々の生活に深く根ざしてきました。
農作業などで疲れた体を癒やしたり、病気やケガの治療に利用したりと、温泉は単なる娯楽ではなく、生活に欠かせない「薬湯」として重宝されてきたという背景もあります。

また、山陰地方は古くから大陸との交流があった地域でもあります。
朝鮮半島や中国大陸から伝わった湯治の知識や入浴文化が、この地の温泉文化に影響を与えたという説もあるそうです。
こうした文化の融合が、鳥取県独特の温泉文化を形成してきたのかもしれませんね。

鳥取県の温泉にまつわる歴史

鳥取県の温泉には、長い歴史とともに数多くの興味深いエピソードが残されています。
その多くは、自然との調和を重んじる日本人の心を鮮明に映し出しています。

古代からの湯治文化

鳥取県における温泉利用の歴史は古く、奈良時代や平安時代の文献にもその記録が残されています。
当時の人々は、温泉を神聖な場所として捉え、病気平癒や無病息災を祈る場所として利用していました。

さらに注目したいのは、温泉地が修験道の修行場としても利用されていたことです。
山岳信仰といった宗教文化とも深く結びついた温泉は、単なる入浴施設ではなく、心身を清める聖地としての役割も果たしていました。

この精神的な側面が、現代まで続く「湯治」文化の基礎となっているそうです。

江戸時代になると、街道の整備とともに温泉地への交通が便利になり、より多くの人が温泉を利用するようになりました。
この時期には、温泉宿や湯治場としての施設も充実し、現在の温泉地の原型が形作られたと言います。

温泉発見の伝説と民話

鳥取県の温泉地には、それぞれに温泉発見にまつわる美しい伝説や民話が残されています。
こうした物語は、当時の人々が温泉をいかに神秘的で貴重なものと考えていたかを物語っています。

たとえば三朝温泉には、源義朝の家臣が白い狼を助けたところ、妙見菩薩(みょうけんぼさつ)が現れて温泉の在り処を教えたという伝説があります。
また、浜村温泉では傷ついた鷺が足の傷を癒していた場所に温泉が湧いていたという「鷺の湯」の物語が今も残されています。

自然界の生き物が傷を癒やす場所として温泉を利用していたり、神仏の導きによって温泉が発見されたりという設定は、当時の人々が温泉を自然からの贈り物として大切に考えていたという精神性を表しているのかもしれませんね。

代表的な温泉地3選

鳥取県の豊かな温泉文化を代表する3つの温泉地をご紹介します。
それぞれが異なる歴史と特徴を持ち、鳥取県の温泉文化の多様性を物語っています。

・皆生温泉(かいけおんせん)
山陰を代表する海辺の温泉地で、美しい弓ヶ浜沿いに大型旅館が建ち並びます。
約100年前に漁師が海中から湧き出る熱い泡を発見したのが始まりとされ、海水が混じった塩化物泉は「塩の湯」とも呼ばれています。
保温効果が高く、なめるとわずかに塩辛いのが特徴で、源泉19本から毎分3800リットルもの豊富な湯量を誇り、ほとんどの宿で源泉かけ流しを楽しめます。

・三朝温泉(みささおんせん)
世界有数のラドン泉として知られ、日本遺産第1号にも認定された歴史ある温泉地です。
高濃度のラドンを含む放射能泉で、新陳代謝を活発にする「ホルミシス効果」が期待されています。
温泉街には昭和レトロな雰囲気が残り、河原には無料の混浴露天風呂「河原風呂」などもあります。
近くには修験道の聖地「三徳山投入堂」があり、温泉と信仰が結びついた文化を感じることができる貴重な温泉地です。
日本遺産:三朝温泉

・はわい温泉
東郷湖の湖底から湧き出る珍しい温泉で、1843年に発見されました。
かつては船を浮かべて湖底から温泉を汲み上げる「湯船」があったという興味深い歴史があります。
現在は湖畔の宿で、まるで湖上に浮かんでいるような幻想的な入浴体験ができるということで人気を集めています。
また、旧「羽合町」がハワイと姉妹都市提携を結んでいたことから、南国ムードの演出も楽しめるユニークな温泉地です。

鳥取県の温泉文化を未来へ

鳥取県の温泉文化を見ていると、昔から人々が「お湯の質」をとても大切にしてきたことがよく分かります。
源泉の管理や適切な温度調整、清潔な環境づくりなど、良質な温泉を保つための知恵と技術が受け継がれているのを感じますね。

現代でも、各温泉地では伝統的な管理方法と最新技術を組み合わせながら、温泉の品質を守り続けています。
定期的な水質検査や配管の清掃など、見えないところでの地道な努力が、私たちが楽しむ良質な温泉を支えているというわけです。

鳥取県の温泉文化は、自然の恵みを大切にしながら長い時間をかけて育まれてきた貴重な日本の財産です。
温泉地を訪れる際は、ぜひその土地の歴史や文化にも思いを馳せてみてください。
普段とは違った特別な温泉体験ができるはずです。

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とっとり水道職人(鳥取水道職人) 0120-492-315

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